宇治上神社(式内 宇治神社 二座)

投稿者: kojiyama 投稿日:

 

概 要

現社 号 宇治上神社
読み:うじがみ
延喜式神名帳 式内社 山城国宇治郡 宇治神社二座 鍬靱
読み:ウジ
所在地 京都府宇治市宇治山田59
旧地名 山城国宇治郡宇治
御祭神
左殿:菟道稚郎子命 (うじのわきいらつこのみこと)…応神天皇の皇子
『日本書紀』では「菟道稚郎子」、『古事記』では「宇遅之和紀郎子」と表記。応神天皇の皇子。天皇に寵愛され皇太子に立てられたものの、異母兄・大鷦鷯尊(のちの仁徳天皇)に皇位を譲るべく自殺したという美談で知られる。
中殿:応神天皇…第15代。菟道稚郎子命の父
右殿:仁徳天皇…第16代。菟道稚郎子命の異母兄
例祭日 5月1日

社格等

『延喜式神名帳』(式内社)
畿内:658座(大231座・小427座)
山城国:式内社122座 大53座(並月次新嘗・就中11座預相嘗祭)・小69座(並官幣)
宇治郡(ウチ) 10座(大5座・小5座)
式内社 鍬靱

近代社格制度   旧府社

創建         年代不詳
本殿様式      一間社流造3棟(国宝)

境内摂末社(祭神)

春日社 (建甕槌命、天児屋根命)
社殿は一間社流造、檜皮葺。鎌倉時代後期の造営とされ、国の重要文化財に指定されている。
住吉社(住吉三神)
香椎社 (神功皇后、武内宿禰神)
武本稲荷社(倉稲魂命)
厳島社(市杵島姫命)

文化財

国宝

本殿(建造物) 明治35年4月17日重要文化財指定、昭和27年3月29日国宝指定。
拝殿(附 桟唐戸4枚、蟇股1箇)(建造物) 明治35年7月31日重要文化財指定、昭和27年11月22日国宝指定。

重要文化財(国指定)

摂社春日神社本殿(建造物) 明治45年2月8日指定。
本殿扉絵(板絵著色) 4面(絵画) 昭和52年6月11日指定。

一口メモ

「現存最古の神社建築」である。京都駅から時間が限られていたので、ゆっくり参拝できず駆け足で訪れた。本殿がちょうど修復中であった。改修される前に工事の足組に囲まれてはいたが既存の社殿を見ることができたのは幸運だったと思う。京阪宇治駅前の府道7号線から神社までは「さわらびの道」と名付けられたカラー舗装の遊歩道が宇治神社を通り駅までぐるりと続いている。

歴史・由緒等

『延喜式神名帳』には「山城国宇治郡 宇治神社二座 鍬靫」と記載があり、「二座」はそれぞれ宇治神社・宇治上神社を指すとされている。この「二座」を祭神と見た場合、宇治神社の菟道稚郎子を一座とすることは動かないものの、もう一座については父の応神天皇・異母兄の仁徳天皇・母の矢河枝比売とする説がある。

なお、宇治上神社の本殿は本来左右2棟であるとして、「宇治神社二座」は宇治上神社のみを指すという説もある(3棟の建築年代については後述)。近くに平等院ができると、両社はその鎮守社とされたという。
明治以前は当社は「上社」「本宮」、宇治神社は「下社」「若宮」と呼ばれたほか、両社を合わせて「宇治離宮明神(八幡宮)」と総称された。
明治に入って宇治上神社とは分離し、それぞれ近代社格制度では府社に列した。
2004年2月の奈良文化財研究所や宇治市などによる年輪年代測定調査では、本殿は1060年頃のものとされて「現存最古の神社建築」であることが裏付けられた。また、1052年創建の平等院との深い関連性が指摘されている。

境内・社叢

  
鳥居・社号標                    御神門

  
本殿覆屋(改修中)                 仮拝殿


本殿覆屋(2016.1.27撮影)

本殿は平安時代後期の建立で、神社建築としては現存最古とされる。流造、桁行5間(正面)、梁間(側面)3間、檜皮葺きの建物内に、一間社流造の内殿3棟が左右に並ぶ(「間」は長さの単位ではなく、柱間の数を意味する)。

内殿は左殿(向かって右)に菟道稚郎子命、中殿に応神天皇、右殿(向かって左)に仁徳天皇を祀る(左殿・中殿・右殿を順に第一殿・第二殿・第三殿ともいう)。左殿と右殿は組物が三斗で、組物間に蟇股を置くなど、形式・規模がほぼ等しいが、細部の様式から左殿の方が年代が上がるとみられる。

中殿は左右殿より規模が小さく、組物を舟肘木とし、蟇股を用いないなど、形式にも違いがある。外側の桁行5間、梁間3間の建物は内殿の覆屋にあたるが、内殿と覆屋は構造的に一体化しており、左殿と右殿の側廻りや屋根部分は覆屋と共通になっている。左殿と右殿の内陣扉内側には彩絵があり、建物とは別個に「絵画」として重要文化財に指定されている。左殿の扉絵は唐装の童子像2体、右殿の扉絵は束帯・持笏の随身像2体で、剥落が多いが、平安時代にさかのぼる垂迹画の作例として貴重である。国宝に指定。

拝殿は鎌倉時代前期の建立で、寝殿造の遺構といわれる。切妻造、檜皮葺き。桁行6間、梁間3間の主要部の左右に各1間の庇を付す。桁行6間のうち、向かって左端の1間は柱間が狭く、隣接する庇部分とともに閉鎖的な1室を構成する。建物右端の庇部分も1室となり、これらに挟まれた中央の桁行5間 x 梁間3間分を広い1室とする。

屋根は切妻造平入りの屋根の左右端に片流れの庇屋根を設ける。切妻屋根と庇屋根の接続部で軒先の線が折れ曲がっており、こうした形を縋破風(すがるはふ)と称する。周囲に榑縁(くれえん)をめぐらし、内部は板床と天井を張り、蔀戸を多用した住宅風の構えである。本殿同様、国宝に指定されている。

  
「桐原水」                     本殿右境内社春日社

境内には「桐原水」と称される湧き水があり、唯一現存する「宇治七名水」の1つに数えられる。

地名・地誌

地 図

交通アクセス

京阪宇治線 宇治駅 (徒歩10分)
JR西日本奈良線 宇治駅 (徒歩20分)

周辺情報

宇治神社
宇治市源氏物語ミュージアム
宇治川
宇治橋
平等院 – 宇治川対岸
丸山古墳 (宇治市莵道丸山、位置) – 全長約80mの前方後円墳で、莵道稚郎子命墓に治定。

参 考

「延喜式神社の調査」さん、ウィキペディア他


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