伯耆国一宮 式内 倭文(しとり)神社
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概 要
社号 式内社 伯耆国河村郡 倭文神社
読み:しとりじんじゃ、しずりじんじゃ
所在地 鳥取県東伯郡湯梨浜町(旧東郷町)大字宮内754
旧地名 伯耆国河村郡
御祭神
主祭神 建葉槌命(タケハヅチ)
配祀 下照姫命・建御名方命・天稚彦命・事代主命・少彦名命・味耜高彦根命
社格等
古代社格制度『延喜式神名帳』
山陰道:560座 大37座(その内 月次新嘗1座)・小523座
川村郡:2座小
式内社(小)
中世社格制度 伯耆国一宮
近代社格制度 国幣小社
社格制度廃止後 別表神社
創建 不明
本殿様式
境内摂社(祭神)
文化財
国宝 伯耆一宮経塚出土品
銅経筒 1口
金銅観音菩薩立像 1躯
銅造千手観音菩薩立像 1躯
銅板線刻弥勒立像 1面
銅鏡 2面
桧扇残片 一括
短刀刀子残闕 一括
瑠璃玉 一括
銅銭 2枚
漆器残片 一括
一口メモ
倭文神社を知ったのは、弥生時代に環日本海文化圏を形成していたであろう出雲共同国家連合を調べているときに、出雲国と越国(北陸)との中継地である丹国(但馬・丹後・丹波国)、そして因幡・伯耆国についてであった。
歴史・由緒等
建葉槌命(武葉槌命・たけはづちのみこと)を主祭神とし、出雲神話に登場する下照姫命・建御名方命・天稚彦命・事代主命・少彦名命・味耜高彦根命を配祀する。
機織に携わった氏族である倭文氏が祖神の建葉槌命を祀ったのが起源とされている。ただし、社伝には下照姫命に関するものが多く、大正時代までは下照姫命が主祭神であると考えられていた。社伝によれば、出雲から渡った下照姫命が現在の湯梨浜町(旧羽合町)宇野に着船し、御冠山に登って現在地に鎮まったという。着船したと伝えられる場所には、下照姫命が化粧を直したという「化粧水」や、腰を掛けたという「お腰掛岩」などが残っている。これについて、『式内社調査報告』では、元々は織物の神である建葉槌命を祀っていたのが、当地で織物が作られなくなったことにより建葉槌命の存在が忘れられ、共に祀られていた下照姫命だけが残ったと記している。
境内の塚が下照姫命の墓であると考えられていたが、大正4年の発掘により経塚であることが判明した。その出土品の銘文から、当社が平安時代後期には伯耆国一宮であったことがわかった。このときの出土品である観音菩薩立像などは国宝に指定されている。
戦国時代、当地を治めた武将に社領を没収され荒廃したが、天文23年(1554年)に尼子氏が社殿を再建した。また、地元の国人・南条氏からも寄進を受けた。その後当地を治めた池田氏も崇敬し、鳥取藩主の祈願所となった。昭和14年、国幣小社に列格し、第二次世界大戦後は別表神社となった。
かつて主祭神であった下照姫命が女神であることから、安産に霊験があるとされる。本殿の後には、かつて「乳神」と呼ばれる神木があったが、現在は倒壊している。参道沿いには「安産岩」と呼ばれる岩がある。昔、毎回難産に苦しんでいた女性が願かけをし、その満願の日の夢に下照姫命が姿を現し、参詣の帰途、この岩の所で簡単に出産したため安産岩と呼ばれるようになったと伝えられる。この岩を削って飲むと霊験があるとされる。
創建年代
具体的な創建年代は不明であるが、平安時代初期の大同3年(808年)の医学書「大同類聚方(だいどうるいじゅほう)」には「川村郡倭文神主之家所傳方 原者下照姫神方也 中暑小便止 頭痛煩熱 口乾者與之」(原文)という記述があり、これが文献上の初見とされている。(参考 谷田亀寿 著 舎人村郷土史論上代篇)
倭文は「しとり、しずり、しどり」と読む。この名前の神社は実は伯耆だけではなく日本全国にある。いずれも機織の神である建葉槌命(タケハツチ。天羽雷命・天羽槌雄・武羽槌雄などとも)を祀る神社で、建葉槌命を祖神とする倭文氏によって祀られたものである。その本源は奈良県葛城市の葛木倭文坐天羽雷命神社とされている。しかし、絹織物の技術は仁徳天皇により導入振興されたとされるも、崇神天皇期(10代)にその創始を唱える倭文神社もあり、日本(倭)においていつ頃どこで絹織物が発達したかを考えるうえで、この神社のある場所や由緒は貴重な資料といえる。
延喜式神名帳には以下の社名が見える。
伊勢国鈴鹿郡 倭文神社(現 加佐登神社(三重県鈴鹿市)に合祀)
駿河国富士郡 倭文神社(静岡県富士宮市)
伊豆国田方郡 倭文神社(現 鍬戸神社(静岡県三島市)ほか論社複数)
常陸国久慈郡 静神社(茨城県那珂市)
甲斐国巨摩郡 倭文神社(山梨県韮崎市)
上野郡那波郡倭文郷 倭文神社(群馬県伊勢崎市)
丹後国加佐郡 倭文神社(京都府舞鶴市)
丹後国与謝郡 倭文神社(京都府与謝郡野田川町)
但馬郡朝来郡 倭文神社(兵庫県朝来市)
因幡国高草郡 倭文神社(鳥取県鳥取市)
伯耆国河村郡 倭文神社(鳥取県東伯郡湯梨浜町宮内)
伯耆国久米郡 倭文神社(鳥取県倉吉市)
他に以下の倭文神社も著名である。
倭文神社(岩手県遠野市)
倭文神社(奈良県奈良市)
美作国久米郡倭文郷倭文神社(岡山県津山市油木北)
淡路国三原郡倭文郷倭文神社(兵庫県南あわじ市倭文)
また、大甕神社(茨城県日立市)にも武葉槌命が祀られている。
境内・社叢
社号標 鳥居
御神門
社頭掲示板
手水舎 拝殿
本殿
地 図
交通アクセス・周辺情報
東郷湖
神社公式サイト
参 考
『延喜式の調査』さん、他
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