式内 大歳神社(新温泉町)

投稿者: kojiyama 投稿日:

Contents

概 要

社 号 式内社 但馬国二方郡 大歳神社
読み:古 オオトシ
所在地 兵庫県美方郡新温泉町居組字宮ノ前615
旧地名 二方国(のち但馬国)二方郡大庭郷井久比村
御祭神 大歳神(おおとしのかみ)
配祀 御年神 若年神
『国司文書 但馬神社系譜伝』 大歳神
例祭日 10月9日

社格等

古代社格制度『延喜式神名帳』(式内社)
山陰道:560座 大37座(その内 月次新嘗1座)・小523座
但馬国(タヂマ・たじま):131座(大18座・小113座)
二方郡(ふたかた):5座(並小)

近代社格制度 旧県社
創建    もとは居組谷に鎮座。永享2年(1430)ごろ現在の地に
本殿様式  流造銅板葺

境内摂社(祭神)

八幡神社・切別神社・稲神社・三柱神社・宇賀神社・鶴宮神社

文化財

大歳神社社叢暖帯照葉樹林(町指定文化財・天然記念物)

一口メモ

兵庫県新温泉町(旧浜坂町居組)にある。鳥取県との県境に近い兵庫県のはずれ、式内神社では最北西部にある。平成十五年に閉校された居組小学校はいまは区の交流センターとして利用されている。その校庭の奥に神社が構えている。境内入口に石鳥居が建ち、鳥居脇には大きな『縣社大歳神社』と刻まれた社号標がよく目立つ。

昔は社名に因んで二方郡大庭郷大歳庄と呼ばれていたらしい。「校補但馬考」によれば、今は居組というが、別に大歳ノ庄というのは、延喜式の大歳の神社がここにあるから、本の名は伊含なり。今は居組と書くは、訓が同じであるからである。と記してある。

因みに新温泉町は、平成の大合併で美方郡の温泉町と浜坂町が合併し誕生したが、美方郡は七美郡(旧村岡町・美方町)と二方郡が一つになって美方郡となったもので、新温泉町はかつてのその二方郡域である。「校補但馬考」は、二方郡は上古は一つの国で出雲国造を祖とする二方国造が治めていた。いつ頃に但馬国に合わせられたのは定かではない。としている。隣の鳥取県岩美郡には、田公(たぎみ)氏、塩谷(えんや)氏の城があり、似た地名や神社、湯村、七釜、岩井など温泉があるのも共通している。

数日前にも一度訪れたが、日が暮れかけていて撮影がフラッシュになり、浜坂は他にも大家神社や、二方神社古社地など不十分だったので日中に再度訪れることにした。居組は漁村で小さい区だが、香住から浜坂のリアス式海岸の入り江にある漁村はどこもいい風情が残っていてほっとする。かつては陸の孤島で海伝いに行き来があったらしいが、鳥取から豊岡まで鳥取豊岡宮津自動車道(国道178号バイパス)が区間開通してかつてはカーブの続く細い国道だったが、トンネルで繋がりずいぶん便利になった。

歴史・由緒等

由 緒
貞観3年(861)の創立。延喜式の制小社に列し、足利時代永享2年(1430)、本殿を建立。

天正3年(1575)、芦屋城主鹽谷周防守は村役人より当社縁起を提出せしめ、一覧。

江戸時代延宝年間(1673~1681)、藩主京極氏当社を崇敬し、神田6畝歩を寄進し、宝暦5年(1755)後昧肥前守代官所を置くや毎年供物料として米1石8斗を捧げる。

天和3年(1683)本殿を建立し、元禄15年(1702)同殿を造営せり。享保4年(1719)本殿を造立し、元文3年(1738)之を再営す。宝暦2年(1752)本殿を造立し、同10年(1760)之を修繕す。明和5年(1768)本殿を造替し、安永4年(1775)、同6年(1777)、天明8年(1788)等に同殿の一部に造営を加え、寛政8年(1796)又建立に着手し、同10年(1798)之を再建す。嘉永4年(1851)拝殿を改造し、同7年(1854)本殿覆を再建。

明治3年(1870)、新に神霊を勧請。同6年(1873)、村社に列せられる。

明治17年(1884)、本殿覆の屋根替え。同30年(1897)、鎮座1050年祭を執行。大正8年(1919)、本殿拝殿を新築。

-「兵庫県神社庁」-

『国司文書 但馬神社系譜伝』
人皇一代神武天皇の御世に鎮座。人皇十三代成務天皇の十年春四月、祭祀を奉行す。

註:人皇四十二代文武天皇の四年春四月、二方国を廃し、但馬国に合わせ、二方郡となす。『国司文書 但馬故事記第八巻』

 

社伝によると、貞観三年(861)の創祀。
さらに、貞観十三年四月三日、従五位下を授けられたらしいが、貞観年間の神階の記録である三代実録には当社のことは記載されておらず、「石見国」の大歳神に授けられている。
よって、神階の件は、多分間違いなのだろうと思う。

式内社・大歳神社に比定されている古社。
もともと居組集落は、現在地の南、JR線辺りにあったらしく、集落とともに当社も遷座。
小字宮ノ原という公有地が旧社地であったらしい。
遷座の時期は、当社本殿が再建された永享の頃(1430頃)と考えられている。
例祭には、県指定無形文化財である麒麟獅子舞が奉納されるらしい。
明治六年村社に列し、明治七年郷社に、大正十三年県社に昇格した。

 

兵庫県には大歳神社が実に多いことに気づいていた。『平成祭データ』で調べると、大歳・大年という社号を持つ神社は全国に734社。
その中で、兵庫県には448社と異常に多いのだ。

因みに、広島(108社)、島根(55社)、山口(38社)、大分(18社)、福岡(13社)、岡山(10社)で、その他の県には10社未満しか存在せず、東日本にはほとんどない。
山陰道・山陽道に分布する神社なのだ。

境内・社叢

  
社叢・鳥居


社頭案内板

  
拝殿                   拝殿扁額

  
本殿              左手境内社 石祠と正八幡宮


右手境内社 猿田彦大神

大歳神社

指定文化財 県指定 麒麟獅子舞 昭和49年3月22日
町指定 社 叢 昭和54年3月3日
所有者・管理者 宗教法人 大歳神社
大歳神社は、貞観3年(861)の創建と伝 えられており、平安時代に作成された「延喜 式神名帳」にも記載されている浜坂町でも 古い神社である。
毎年10月9日の例祭日には、家内安全・ 無病息災を願って麒麟獅子舞が奉納される。
また、神社の境内には、シイ・ツバキ・タブ ノキの古木を中心に、ケヤキ・ヤブニッケイ・ モチノキ・ヤマザクラ・ヒメユズリハなどの 貴重な樹木が多く茂っている。

-社頭案内板-


旧居組小学校校庭の北側

地名・地誌

居組
二方郡大庭郷井久比村 『国司文書 但馬神社系譜伝』

地 図

交通アクセス・周辺情報

参 考

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