1.神道(しんとう)について

 

街中の赤い鳥居、田んぼの中のこんもりした森、山の頂の小さな社、全国至るところに神社はあります。神社のある風景、それは映画やドラマでもおなじみの、ごく身近な、しかし日本にしか見られない独特の風景です。

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神道(しんとう)

このような神社を中心とした、日本の神々への信仰が神道(しんとう)です。

神道は、日本人の暮らしの中から生まれた信仰といえます。もともと神道という言葉自体がなく、遠い昔、私たちの祖先は、稲作をはじめとした農耕や漁撈などを通じて、自然との関わりの中で生活を営んできました。
自然の力は、人間に恵みを与える一方、猛威もふるいます。人々は、そんな自然現象に神々の働きを感知しました。また、自然の中で連綿と続く生命の尊さを実感し、あらゆるものを生みなす生命力も神々の働きとして捉えたのです。そして、清浄な山や岩、木や滝などの自然物を神宿るものとしてまつりました。

やがて、まつりの場所には建物が建てられ、神社が誕生したのです。このように、日本列島の各地で発生した神々への信仰は、大和朝廷による国土統一にともない、形を整えてゆきました。そして、6世紀に仏教が伝来した際、この日本固有の信仰は、仏教に対して神道という言葉で表わされるようになりました。

八百万の神々

神道の神々は、海の神、山の神、風の神のような自然物や自然現象を司る神々、衣食住や生業を司る神々、国土開拓の神々などで、その数の多さから八百万の神々といわれます。さらに、国家や郷土のために尽くした偉人や、子孫の行く末を見守る祖先の御霊も、神として祀られました。奈良時代にできた『古事記』『日本書紀』には、多くの神々の系譜や物語が収められています。

祀り・祭り

神道の信仰が形となったものが祭りです。祭りは、稲作を中心に暮らしを営んできた日本の姿を反映し、春には豊作を、夏には風雨の害が少ないことを祈り、秋には収穫を感謝するものなどがあり、地域をあげて行われます。祭りの日は、神社での神事に加えて神輿や山車が繰り出し、たくさんの人で賑わいます。神道の祭りを行うのは、神社だけではありません。皇室では、天皇陛下が国家・国民の安寧と世界の平和を祈るお祭りを行われています。また、家庭では、神棚の前で家の安全、家族の無事を祈ります。これも小さな祭りといえます。

神道のもつ理念には、古代から培われてきた日本人の叡智や価値観が生きています。それは、鎮守の森に代表される自然を守り、自然と人間とがともに生きてゆくこと、祭りを通じて地域社会の和を保ち、一体感を高めてゆくこと、子孫の繁栄を願い、家庭から地域、さらには皇室をいただく日本という国の限りない発展を祈ることなどです。このような理念が、神々への信仰と一体となって神道が形づくられています。また、神道には、神々をまつる環境として、清浄を尊ぶという特徴があります。神社は常に清らかさが保たれ、祭りに参加する人たちは必ず心身を清めます。これら神道の理念や特徴は、日本人の生き方に深く影響しているといえるでしょう。

神道は、日本の民族宗教といわれ、日本人の暮らしにとけ込んでいます。たとえば、初詣や厄除、初宮参りや七五三、結婚式や地鎮祭など、神道の行事は日常生活のいたるところに見かけることができます。しかし、一般の日本人は、あまりにも身近なせいか、神道について知らないことが多いのも事実でしょう。

(引用:神社本庁)

つまり、神道は、神に教えを請うものでなく、自らが歩む(極めていく)という考え方です。これは、剣道や柔道などの武道と同じく、克己の心を表しているとも言え、神道の基本的精神は、まさに、自分次第ということになるのでしょうか。それだけ、曖昧かつ寛容な考え方と言えます。

そして、その根本は、アミニズムと呼ばれる土着型の自然神信仰に始まります。人々は、生活の中から、自然の猛威に畏敬の念を抱き、五穀豊穣や豊漁をその土地の神々に祈念してきました。その為、神さまは私たちの生活の至るところにおり、また、その数も八百万(やおよろず)と言われるほど無限に存在してきたと考えられました。実際、古来の神道には社殿というものがありませんでしたが、それは、まさに、神さまは、聖地を選ばないという発想のもと、現在の地鎮祭のように、磐座(いわくら)や神籬(ひもろぎ)を用いて、その都度、場所を形式化してきただけなのです。しかし、その後、仏教や道教、陰陽道などの様々な宗教と習合していく中で、徐々に体系化されるようになり、社殿を持つという、現在の神道のひとつの型を形成するようになりました。そして、最終的には、「古事記」や「日本書紀」といった古来の伝記や歴史書になぞらえ、神々の系譜が体系化されていくと、皇祖神が現世天皇へと引き継がれることによって、現在の日本という国家が形成されていきました。

ご先祖様に対する感謝の気持ち

神道の最も重要な考えを表すならば、それは、「畏敬」という一言につきるのではないかと考えられます。それは、大自然の猛威や恩恵という側面とは別に、もうひとつの側面からも推測できます。それが、歴史上の人物の怨霊や英霊、霊魂を祀ったものです。代表的なものとしては、天満宮の菅原道真公や、靖国神社の戦没者、東郷神社の東郷平八郎命などがこれにあたります。天満宮や将門神社は、死者の霊魂(怨霊)を恐れ、敬いながらもその力を味方につけるという考えで、東郷神社や乃木神社は、過去の活躍や感謝に対する念が込められており、祖先を慕い、敬うという考えも神道の大きな考え方の一つとなります。実際、今、定着している盆行事も、仏教の考えとみる方がほとんどですが、元々は、「祖霊祭祀(それいさいし)」と呼ばれる神道の先祖祀りが元になっています(現在の盆行事は、盂蘭盆会と呼ばれる僧侶の祭祀と融合した結果で、江戸時代の幕府令で、盆行事の仏式化が強要された結果に基づきます)。そして、これ正月には神さまを、お盆にはご先祖さまをお祀りするというのが、神道における年中の二大行事で、その根本の趣旨にあたります。そのため、神道としての教えを体系化したものというのはありませんが、ひとつだけ、掲揚している考え方がありまして、それが、「敬神崇祖(けいしんすうそ)/神々を敬い先祖を大切にする」という言葉です。これは、畏敬の精神を象徴化した言葉で、目に見えないものへの畏敬の念、これこそが神道の神髄であり、神道がいわゆる感謝道であるとも言われる所以になります。これは、日本人の発想そのもので、曖昧感(はっきりしない)、もったいない精神(物に神や魂が宿る)、謙譲の精神(相手を敬う精神)といった日本を代表とする考え方に強く影響しているのではないでしょうか。ちなみに、神道には改宗の儀がありません。これは、神道、いわゆる神社が、自主的な気持ちによって支えられている結果あり、あくまで、「神社に行って、お賽銭を上げて、参拝をして、感謝の気持ちを神さまに伝える」といった敬う心がすべてというようです。

何気なく関わっている神道の教え

神道は、日本人の生活とも密接に関わっています。例えば、私たちが何気なく過ごしている祝日などはその代表例とも言えますが、正月を代表とした年中行事や日本人独特の考えや思考(曖昧感や寛容さ)といった日本の文化的背景は、神道と切っても切れない間柄なのです。

神道の祭り事と祝日の関係

●歳旦祭(さいたんさい/年始を祝う祭祀):1月1日→元旦
●紀元節(きげんせつ/初代天皇神武天皇が即位した日):2月11日→建国記念の日
●春季皇霊祭(しゅんきこうれいさい/天皇や主たる皇族の忌日):3月春分→春分の日※五穀豊穣の祈念日
●旧天長節(てんちょうせつ/昭和天皇の誕生日):4月29日→昭和の日
●旧天長節(てんちょうせつ/明治天皇の誕生日):11月3日→文化の日※偶然とも言われる
●秋季皇霊祭(しゅうきこうれいさい/天皇や主たる皇族の忌日):11月秋分→秋分の日※五穀豊穣の感謝日
●新嘗祭(にいなめさい/五穀豊穣の収穫を感謝する日):11月23日→勤労感謝の日
●天長節(てんちょうせつ/今上(きんじょう)天皇(在位中の天皇)の誕生日):12月23日→天皇誕生日

ここで、特に注目してもらいたいのが、建国記念日です。日本の建国は、神武天皇という初代天皇の即位に始まります。その年から数えて、現在、約2670年。実は、日本は、国家単位でいくと、世界最古の国になるのです(二位がデンマークの約1100年)。そのため、皇室に対する海外からの尊敬は非常に高く、その価値は、日本人以上に海外の方の方が、よく理解しています(実は、多くの日本人は、建国を明治や戦後以降と思われる方がかなりいらっしゃいます)。そんな日本は、ある意味、神道国家と言うことができるのではないでしょうか。

戦後、GHQにより国家神道は解体され、押しつけられた現憲法により、昭和天皇による人間宣言がなされたが、現在においても古代からの伝統としての神道は残っており、天皇を始めとした皇室内で新嘗祭や宮中祭祀である国の安泰を祈願する四方拝や祈りなどが執り行われています。

臨時憲法を新憲法と誤解した戦後教育により、戦時中に神道を利用したとか、また靖国神社問題では、国家が宗教を司るのは違法であるとする愚かな考え方が誤解を招いています。まちがいなく日本は国の誕生から天皇を神祇を執る最高位として崇める世界に類をみない最古の立憲君主民主国家です。

引用:「神社本庁」、「神社人」、ウィキペディア
http://jinjajin.jp/modules/contents/index.php?content_id=18

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