村社 釈山神社(豊岡市日高町広井)

投稿者: kojiyama 投稿日:

概 要

社 号  釈山神社
読み: しゃくやま
所在地 兵庫県豊岡市日高町広井471
旧地名 気多郡三方郷広井村
御祭神 速須佐之男命(すさのおのみこと)
例祭日 9月9日

社格等

式外社

近代社格制度 旧村社

創建     年代不詳
本殿様式

境内摂社(祭神)

不明

一口メモ

『国司文書 但馬故事記』にある国学博士文部息道が「気多郡神社神名帳」編んだ。式内社とそれ以外の十社が記載されている。
のちの国学博士らが国学寮に関係する三社を「気多郡神社神名帳」に追加している。この三社を調べてみることにした。

いずれも三方地区(旧三方郷)にある。広井区の裏手の中腹にあるらしいが、行く道がさっぱりわからず、付近の人に聞くと、お堂がある広場を歩いてだいぶ奥の山裾にあると。本当に登るのかとやや呆れた顔をされた。
お堂に駐車して民家の間の実に細い脇道を上に歩く。小さな墓地があり、山道が続く。林の中を進むと、ようやく神社の祠らしきものが見えてきた。古い神社は山中にあったり、近世には村の中に遷座されたものが多いが、ここは創建当初からの神社と自然がそのまま残っている感じだ。

歴史・由緒等

創立年月不詳

文政4年(1821)9月社殿を再建し、嘉永3年(1850)霊代を再造せり。

明治6年(1873)10月村社に列せらる。

-「兵庫県神社庁」-

鳥居扁額には、「天山神社」とあるのに、なぜ釈山神社なのだろう。祭神がスサノオとなっているが、当初は天山なら天津神がふさわしく、釈山なら釈迦の山のことだ。明治の神仏分離令で仏教のお釈迦様は都合が悪いため、天に変え天山神社とし、祭神をスサノオに替えたのかも知れない。以下、釈山神社は釈尊神社であるとするならば、祭神は文宣公孔夫子であったかも知れない。

『国司文書 但馬故事記』に、
大宝元年春正月、皇都に大学寮を設け、諸国に国学寮を設ける。
2月、始めて先聖・先師を大学寮に釈尊 [*1] す。
(中略)

3年夏5月、但馬国気多郡馬方原[*2]に国学寮を設けるにいたり、郡司の師弟を享受す。国学博士文部の息道これを教授し、これを国の学頭となす。(文部息道は西文氏(かわちのふみうじ)の末裔なり)
(中略)
4年春2月、初めて先聖孔子を国学寮に釈尊す。(国学寮を廃してのち釈尊寮。釈尊神社と称し奉る)
(中略)
人皇47代孝謙天皇・天平勝宝7年春正月、
国学の頭・文部(あやべ)息道は、気多郡神社神名帳を編み、総社に納む。

人皇47代孝謙天皇・天平勝宝7年春正月、
国学の頭・文部(あやべ)息道は、気多郡神社神名帳を編み、総社に納む。
とし、30社(うち式内社21社)記載している。

人皇48代高野天皇、神護景雲元年春正月、
文部息道の子・良道をもって、国学博士と為す。
2年秋8月、大学寮の例により、孔子を尊び、文宣公と云い、初めて孝経を講ず。

人皇50代桓武天皇延暦3年冬12月、本国大穀(だいき)[3]・外従六位・川戸部広井[4]、私物を進めて、公用に供す。勅して、外従五位下を賜う。
4年2月、外従五位下・川戸部広井、本姓を改め、高田臣を賜う。

人皇52代嵯峨天皇・大同5年夏5月11日、
兵士300人をもって、健児(こんでい)と為し、健児1人につき馬子2人を置く。
弘仁3年春正月、従五位下・良峰朝臣安世を(但馬国府の長)但馬介と為し、国学寮として但馬故事記を撰ましむ。之を国司文書と云う。
(中略)
人皇62代村上天皇・天徳2年夏6月、国学ノ頭博士・膳臣法経卒す。
門人これを母曾森に葬り、祠を建て、之を祀る。法経神社と云う。
(また)神社神名帳追加左の如し

釈尊神社 祭神 文宣公孔夫子
文部神社 祭神 文部息道(初代学頭)・文部良道(その子で2代学頭)
法経神社 祭神 膳臣法経

、とある。

3年夏5月、但馬国気多郡馬方原[*2]に国学寮を設ける
4年春2月、初めて先聖孔子を国学寮に釈尊す。(国学寮を廃してのち釈尊寮。釈尊神社と称し奉る)
国学寮は三方郷にあったとあるから、三社も三方内ではないかと思うからだ。釈山神社が釈尊神社であるとするならば、広井に国学寮が置かれていたのではないだろうか。
釈尊神社の名が似ているので釈山神社ではないか?!

文部神社は杉ノ森に祀る、→森山の杉岡神社か?
法経神社は母曾森に祀るとある。
この3社の神社名は、現存しておらず、釈尊神社についてはまったく記されていない。
国衙に近い場所に国学寮が置かれたと考えられるが、しかし、

*1 釈尊…「悟った人」を意味する釈迦の尊称。
*2 馬方原…三方郷は馬方郷の転訛
*3 大穀…軍団の大将。
*4 気多軍団大穀となった川戸部広井が、広井村を指すものか不明だが。

境内・社叢

  
鳥居                   鳥居扁額は天山神社

  
手水鉢                   境内 狛犬

  
狛犬                    本殿覆屋

  
本殿                    境内左手に境内社のようだが不明

地名・地誌

地 図

交通アクセス・周辺情報

参 考